2019-03-28

ストレッチは果たして効果があるのか?

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セラピストスキルアップ実践会認定講師の宮森大地です。
本日もブログにお越しいただき、本当にありがとうございます。

スギ花粉からヒノキ花粉の時期に変わってきた模様ですね。
私は例年より楽ではあります。
いろいろやってみるものですね。

さて、本日は「ストレッチは果たして効果があるのか?」というお話。

臨床においても体が“硬い”方にはよく出会います。
この“硬い”にはいろいろな種類がありますね。
で言えば短縮硬結滑走不全などが挙げられます。
もちろん、皮膚や関節包、筋膜レベルでの組織学的な変化はあり得る話です。
また、“硬さ”はその時の患者さんの心理的な状態(大脳の活動状態)やボディイメージにも影響されます。
これは組織学的なものというよりは、筋緊張と言った方が良いでしょう(恥ずかしながら筋緊張がいまだによくわかりません)。

世間一般的には体が“硬い”と言うと、“筋肉が短くなっている”と捉えることが多いようです。
いわゆる筋短縮ですね。
触って筋肉が“硬い”と“こってるね”と捉えることが多いようです。
いわゆる筋硬結ですね。
実際に触れてみて筋肉がやわらかくても、可動域制限が見られることはよくあるのですがその場合は“???”となるようです。
これはおそらく筋緊張の問題(大脳の活動レベルやボディイメージを含んだもの)と捉えられます。
ただ、これらのことはどうでも良くて、“硬い・動かないのならストレッチしよう”が世間一般で言われていることのように思います(あとはほぐすとか)。

実際にストレッチの効果として即時的なものは粘弾性の変化、結合組織の伸長、伸張反射による神経筋の活動性の変化、長期的に見てサルコメアの増加が挙げられています。
ただ研究によっては即時的な効果はあるものの、それは一時的なものであり、伸張反射による影響は実は少ないのではか?という研究結果もあるようです。
また、サルコメアの増加を確認できた実験もない、とのこと。
ただ、実際にストレッチを続けていくと体が“柔らかくなる”人は多いです。

なぜ?

その前に、沖田実先生が編集された関節可動域制限という書籍の中では動物実験によるデータが豊富に掲載されています。
関節をさまざまな状態で“不動状態”にしたラットの筋、筋膜、靭帯、関節包などを顕微鏡で観察し、サルコメアの破綻やコラーゲン線維の走行のズレを確認し、ストレッチによる変化を組織学的に調べたものが載っています。
それによれば、確かにストレッチによって組織学的な変化は起きるのですが、動物実験ということと、関節を“不動状態”にしているという点で臨床には直結しにくいかも?と私は思います。
表現は適切ではないかもしれませんが、いわゆる寝たきり状態の方ならばそれに近しい状態かもしれません。
しかし、運動習慣が減っていると言われている現代人と言えど、1日に数千歩は歩くような人の筋・筋膜や靭帯がサルコメアの短縮や破綻、コラーゲン線維の走行のズレが生じるか?というと疑問が残る気がします(これは思いっきり主観です)。

実際、強い炎症が起きた後は、その組織が瘢痕化してしまうので組織学的に“硬く”なることは理解できます。
手術での侵襲部位はまさにその例で、人によっては皮膚がミミズ腫れと言われるような状態になります。
中身を見たことはありませんが、凍結肩のような肩関節に強い炎症が起きたのであろう肩は関節包レベルでの制限が感じられ、可動域の再獲得にも長い時間を要します。
とは言え、こういった術創部や強い炎症が起きたであろう関節でも、可動域が回復してくるのですが、ご自宅で過ごされている方が本当に組織が伸長されるだけのストレッチを毎日やっているか?と考えるとそれもまた疑問です。
整形外科などでの運動療法は1単位20分ですし、週に数回やったとしても大した時間ではないでしょう。
そう考えると、組織の伸張性を再獲得するためにはそこまで強い・長い刺激も要らないのではないか?と思うのと同時に、また別の作用機序があるのであろうと考えられるわけです。

さらに固定が続いた組織の周辺の血管の伸張性がなくなることも確認されています。
これは組織学的にも明らかに変化があることは確かで、伸張刺激を繰り返して加えていくと血管も組織学的な変化が起きることも確認されています。
なので、ストレッチは血管からみても良いことは確かですが、十分な伸張性が獲得されていない関節を無理やりに動かすことは、筋や関節包などだけでなく、血管の損傷も誘発しかねないことを念頭に置かないと、アプローチを間違ってしまいかねません。

また、最近何かと話題の筋膜も60kg以上の力が加わらないと伸長されないようです。
損傷が起こらないように伸ばすのには、1時間以上は筋膜に対して伸長刺激を入れ続けないといけないのだとか。
足底筋膜や大腿筋膜のようなより硬い筋膜では852kgの垂直荷重と424kgの接線力が必要なのだとか。
筋膜リリースという手技も、なんだか怪しく感じますよね(無論、これは生体ではなく検体での研究結果でしょう)。
それに筋膜が伸びるということは結合組織が伸びるということですから、早い話が結合組織の損傷になりかねませんよね。

いろいろ書いてしまいましたが、じゃあストレッチとは何なんだ?と。

ストレッチによって生じる可動域の変化は主に感覚の変化によるものではないか?とも言われています。
もちろん、即時的には粘弾性の変化があることは確かでしょうし、体を動かすことで微小循環の変化もあり、これらも感覚の変化を起こすことが考えられます。
とは言え、臨床的な変化を観察すれば、エビデンスはないにしても組織学的な変化はあるのであろうとは思いますが、体を動かすことでボディイメージやボディスキーマが更新されていくことによる変化も十分にあり得ます。

で、何が言いたいの?となると、要は内観が大事なのでは?ということです。

忙しく集中力のない現代人は何かと“ながら”でやりがちですが、自分の体の感覚を磨くためにはその瞬間の体の変化に集中することは求められるように思います。
これもまたエビデンスはないですが、臨床的な経験からすれば、不動が続いた結果、可動域制限が生じた場合でも限りは“硬い”部位を長時間(30分とか60分とか)伸張し続ける必要もない気がするのです。

長々と書いて結局は内観かよ、と思われたかもしれませんが、ストレッチ1つをとってもその作用機序を考えると実践方法が変わってきます。
患者さんやクライアントさんになにかを指導する際には、伝え方の参考になるかと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また明日。

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