2019-04-13

【症例報告】パーキンソン病患者と操体法<認定インストラクター まりも>

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セラピストスキルアップ実践会認定講師の宮森大地です。
本日もブログにお越しいただき、本当にありがとうございます。
毎週土曜日は当会の認定インストラクターによる症例報告をお送りいたします。

さて、本日は<まりも>によるパーキンソン病患者さんの症例報告です。
今回のテーマは「基本って大切」です。

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【症例紹介】
〇基本情報
71歳、女性、主婦

〇病歴
・パーキンソン病
・右大腿骨頸部骨折(人工骨頭置換術)
・レビー小体型認知症
・鬱病

〇薬
メネシット300㎎(朝昼晩)
ニュープロパッチ13.5㎎(就寝前)
レミニール8㎎
※メネシットは1/2錠ずつ服用。身体の動きにくさが強い時には、1/2錠を頓服。

〇パーキンソン病の状態
・Hoehn・Yahrの重症度分類 Ⅱ
・日常生活障害度 Ⅰ
→独歩は可能であるものの、ADLは緩徐に低下している。

〇家族構成
夫と二人暮らし。

〇生活状況
キーパーソンは夫。
毎朝、妻(症例)の起床と内服薬服用を手伝い、時には足をマッサージする。
ラジオ体操を妻と共に行い、朝食(サラダ、パン、スープか飲み物)を準備。
パーキンソンについて書かれた本を購入して読まれている。
昼食前か夕方に、夫が妻と共に散歩に行ったり、2週おきにあるマンションの体操教室に通ったりしている。

妻(症例本人)は専業主婦。
ご本人は洗濯や掃除、料理をできる範囲で行っている。
できない部分は夫が手伝う。
最近、浴槽への入浴も大変になってきた。
散歩は距離を短くして行っている。
昨年までは近くのカフェで友人と会っていた。
最近は友人に自宅へ来てもらい、お茶菓子やお惣菜などを各自持ち寄ってもらっている。


【評価】
〇問診(主訴)
体が前と左に傾いちゃって、自分じゃ起こせない。
背中が全部痛い。腰まで。(←これが一番気になるとのこと)
全身が疲れてる感じがする。
ふくらはぎが張ってる感じがする。
お父さん(夫)と散歩に行くけど、途中で疲れちゃって。途中で休まないと帰って来れない。
ラジオ体操もジャンプができなくなって、最近は手も上がらない。

〇視診
立位および端座位にて
股関節屈曲、体幹前傾・左側屈・左回旋。

〇動診
立位及び端座位にて
前後屈、側屈、回旋運動時、脊柱全般の動きが硬く、少ない。
臥床時以外常に背中から腰が痛く、日常生活動作を含め特定の動きで痛みが強くなる感じはしないとのこと。

〇触診
端座位にて
右脊柱起立筋群が膨隆し、硬い。
左腰背部と臀部の筋が、柔らかい。


【施術】
〇目的
腰背部の痛みの軽減

〇内容
①硬くなっている筋に軽く圧をかけて緩める。
②下肢(足→膝→股→末梢から中枢)と上肢(手→肘→肩→末梢から中枢)の関節を圧縮。
③肩の上げ下げ(右下げ、左上げ)。

全身の疲労感が強く、端座位保持も困難な状態だった。
そのため、そのまま左側臥位になって頂き施術。
臥位になってすぐ眠られたため、①②を施術者の手から感じる筋や骨の状態から判断し実施。

①は左右の足底、下腿、腰部、背部、頸部
②は右側の下肢と上肢、左側は足関節と膝関節のみ実施。
その後、覚醒されたため、起き上がって頂く。
その際、起き上がりの途中で右腰部に軽い痛みの訴えあり。
端座位で左右の肩の上げ下げをどちらがいいか尋ね、③を実施。


〇結果
①②後、起き上がって腰背部が「楽になった」と。
③後、再度左側臥位から起き上がって頂き「痛くない」と。
施術前に比べて、股関節の屈曲、体幹の前傾が軽減。
「身体が起せてる」「歩きやすい」と。


【考察】
今回、ご本人が一番気になっている腰背部の痛みを軽減する目的で介入した。
まず、筋緊張が高いところを調整するために①を実施した。
その後まだ眠られており、夜間の睡眠だけでは疲労がとれていないと考え、覚醒を促さなかった。
そして他動でできる方法で、関節の安定性を高め、筋収縮力を高めるために②を実施した。
その後覚醒されたため起き上がって頂くと、腰背部の痛みが「楽になった」という発言が得られた。
これは、短時間(10~15分程度)の睡眠と①によって筋緊張が緩和されたためであると考えられる。
次に、起き上がり時に右腰部の痛みがあったという訴えがあったため、③を実施した。
その後再度左側臥位からの起き上がって頂くと、先ほどあった右腰部の痛みは感じなくなった。
起き上がり時の右腰部の痛みは、①により腰背部全体にあった痛みが限局化したことと、左側臥位からの起き上がり時に右腰部の筋収縮が上手くできていないことが考えられる。これが③により、脊柱の関節の安定性が高まり、筋収縮力が高まったため、「痛くない」という発言に繋がったと考えられる。


【まとめ】
操体法において、視診で体幹が左側屈・左回旋していることから、③では左肩を下げ、右肩を上げたがっていると捉えることもできると思われる。
しかしこの視診に、触診で右脊柱起立筋群が膨隆して硬く、左腰背部と臀部の筋が柔らかい状態であることを合わせると、左側の筋が上手く働いておらず倒れそうになる身体を、右側の筋が最大限の長さまで伸ばされた状態で収縮し、身体を倒すまいとしていると考えられため、伸ばされた右側の筋の長さを元の長さに近づける(起始と停止を近づける)ことが必要と思われ、左肩を上げ、右肩を下げるのがいいのではないかと予測できた。
実際にご本人に両肩の上げ下げをそれぞれ実施しどれがいいか尋ねると、左肩上げ、右肩下げを選択された。そして操法実施後、痛みが軽減した。
このことから、操法を実施する際には、操体法の基本ルールである「ご本人の快感覚に従う」ことが大切だと実感した。

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<宮森のコメント>
実はこの症例に関しては<まりも>さんから個人的に相談を受けていました。
今回は主に身体面に対するアプローチとして操体法の症例報告となりましたが、≪相手に聞きながら基本に忠実に行う≫ことの大切さが分かりましたね。

ところで、こういった高齢者の患者さんへのアプローチでは身体面だけでなく、環境面(家具の配置や自助具の選択)のほか、ご家族との関係性など、治療者が関わる範囲が広くなります。
治療家としての領分(出来ること・出来ないこと)と、どこに自分の軸を置くかをハッキリさせて関わっていくことも大切だと個人的には考えています。


また来週も認定インストラクターの症例報告をさせていただきます。
明日からもがんばっていきましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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